40円時代のマレーシア〜2026年賀状から考える包装教育〜

マレーシアから届いた年賀状
2026年です。今年もよろしくお願いします。さて、年明けに、マレーシアの学生から丁寧な日本語で書かれた年賀状が届きました。午年のかわいいイラストが添えられていて、日本の文化を大切にしてくれる姿勢が伝わってきます。私自身、現在もマレーシア工科大学の客員教授としてマレーシアとのつながりを持っているのですが、こういった交流が続いていることを嬉しく思います。
さて、この年賀状を見ながらふと考えたのが円安の話です。

数年前まで、1マレーシアリンギット(RM)は30円くらいの感覚でした。それが今は40円近くになっています。「東南アジア=物価が安い」というイメージで語られることも多かったマレーシアですが、実際には経済発展とともに物価も上がり、円安も重なって、もはや「安いから行く場所」とは言えなくなってきています。この流れはこれから爆走していくんでしょうね、、、まあ他国はさらにすごいんですが、、、
むしろ、**「ちゃんと学べるから行く場所」**としてのマレーシアの価値が、改めて見直される時期に来ているのではないでしょうか。
日本包装学会誌のマレーシア特集号
以前、私が編集を担当した日本包装学会誌で、マレーシア特集号を組んだことがあります。
この特集では、マレーシアの多文化社会、技術教育の仕組み、包装産業などを取り上げました。マレー系・華人系・インド系が共存する社会で、どのように産業が発展しているのか。宗教や食文化の違いが、パッケージデザインや品質管理にどう影響するのか。そういった視点で書かれた内容でした。

最近、日本包装学会の活動の一環として、マレーシアの包装教育についても調べる機会が増えています。そこで知ったのが、マレーシアにも「包装」を専門的に学べるプログラムがきちんと存在しているということです。
マレーシアの包装教育プログラム

カリキュラムや大学のウェブサイトを調べてみると、いくつか興味深いプログラムがあります。
UTM(Malaysia University of Technology)
マレーシアの工学系トップ校として知られるUTMは、工学全般の教育・研究拠点になっています。材料工学や化学工学などに関連する分野の研究も盛んに行われているようです。

さっそく、新年のお祝いカードが届いております。
UCSI University
ここには**「Diploma in Packaging Science and Technology」**という2年制のディプロマコースがあるらしいです。日本でいえば短大や専門学校に近いイメージでしょうか。
カリキュラムを見ると、こんな科目が並んでいます:
- 包装材料
- 化学・微生物学
- 包装設計
- プロセス工学
- 品質管理
- インターンシップ
つまり、包装を総合的に学ぶ専門コースとして設計されているわけです。
UPM(Universiti Putra Malaysia)
UPMでは、Process and Food Engineering のプログラムの中にPackaging Engineeringのオプションがあり、修士レベルでも「Food Process & Packaging Engineering」を掲げているとのこと。食品包装という観点から、工学的なアプローチで研究・教育を行っているようです。
円安時代の「マレーシア留学」

話を円安に戻しましょう。
1RM≒40円という今の時代、マレーシアの物価は確実に日本に近づいてきています。クアラルンプールの都心部では、ランチ代もカフェ代も、東京の感覚とそれほど変わらなくなってきてます。欧米と比較すると円安が加速する今だからこそ、マレーシアも「安いから行く」ではなく、「ちゃんと学べるから行く」という視点が大切になります。
以前、このブログでも「海外留学のススメ」みたいな記事を書きましたが、マレーシアは
- 短期留学プログラムが充実している
- ダブルディグリー制度がある
- インターンシップの機会も多い(知っている学生は全員行ってます)
- 英語で学べる環境が整っている
といった点で、「最初の一歩」を踏み出しやすい場所だと思います。
欧米に比べれば時差も少なく、文化的にもアジア圏なので、日本人学生にとっては比較的適応しやすい環境でもあります。
研究室として何をしていくか

私自身、今年はマレーシアに滞在する予定があります。その際には、包装教育や産業の現場をもう少しきちんと見て、学生のみなさんに還元できる情報を持ち帰りたいと考えています。
私の研究室は、電子・光機能材料がメインテーマですが、その応用先の一つとして包装分野との接点もあります。たとえば、
- スマートパッケージ(鮮度センサーなど)
- バリアフィルム材料
- 印刷電子デバイス
といったテーマは、包装と電子材料の融合領域です。
日本とマレーシア(東南アジア)をつなぐ、包装・材料・デバイスの教育・研究を、細く長く続けていきたいと考えています。
つながり続ける意味

マレーシアからの年賀状は、ただの挨拶以上の意味を持っています。それは、国境を越えた学びの場がこれからも続いていくことの象徴であり、お互いの文化や専門性を尊重し合いながら成長していくことの大切さを教えてくれます。
円安という経済環境の変化は、私たちに留学の意味を問い直す機会を与えてくれました。「安いから」という理由ではなく、「そこでしか学べないことがあるから」「そこでの出会いが自分を成長させるから」という本質的な価値に目を向けることができるようになりました。
小さな年賀状から始まった思索は、これからの国際教育連携のあり方を考えるきっかけとなりました。学生たちには、広い視野を持って、アジアの中での日本の役割、そして自分自身が国際社会で果たせる役割について、考えてほしいと思います。マレーシアは、その第一歩を踏み出すのに最適な場所の一つなのです。
マレーシアからの年賀状を眺めながら、そんなことを考えた年明けでした。これからも、この小さなつながりを大切に育てていきたいと思います。

