社会人インタビューvol.17:NEXCO東日本エンジニアリング – 高速道路を支える堅実な仕事

先日、研究室に卒業生でありNEXCO東日本エンジニアリング3年目の押田さんが来て、3年生向けに講演をしてくれました。
—————-
NEXCO東日本エンジニアリング
https://www.e-nexco-engi.co.jp/hr/
—————-
この会社、1984年創業で従業員数1,320人(2025年6月時点)、東京都荒川区東日暮里に本社を置く、地味だが堅実な会社です。事業内容は調査設計、道路保全管理、工事施工管理、道路設備工事、情報技術、構造物非破壊検査診断の6分野に分かれています。
高速道路の「縁の下の力持ち」という仕事
押田さんが担当しているのは道路保全管理業務です。具体的には、高速道路上や各インターチェンジの電気室内にある設備の点検。情報板や速度規制標識などの点検、故障対応、報告書作成、補修工事の立ち会いなどを行っています。
「キパト」と呼ばれる車両で現場に向かい、点検や故障対応を行う。朝7時45分に出社して、9時にミーティング、10時から点検作業開始、15時に事務所帰着、15時半から点検結果の記録作成、16時半に翌日の準備、17時に報告、18時に帰宅。

これが押田さんの一日のスケジュールです。規則正しい業務になります。残業がない日のパターンですが、月平均残業時間はXX時間とのこと。まあ、そこは正直に話してくれました。
福利厚生の充実
ここからが意外だったのですが、福利厚生がかなり充実しています。
平均勤続年数14年、男性の育児休暇取得率57%、年間研修数214回、社宅使用率76%、年間休日数、当番手当、カフェテリアプランなどなど、、、
特に興味深いのが「当番」制度です。設備故障時の対応要員として指名される制度で、そのため社宅は事務所から30分以内の場所に住むことが推奨されています。これが社宅使用率76%という高い数字の理由です。当番手当も出ますし、故障対応で働いた場合は時間外勤務として別途手当が出る。金額的な損はない仕組みになっています。
選択肢としての「インフラ保全」というキャリア
質疑応答で、学生から「必要な資格は?」という質問が出ました。押田さんの答えは「入社時に必要な資格は特にないが、自動車免許は必須」とのこと。それはそうですよね、他にも入社後に研修する機会も設けられています。
もう一つ、「なぜこの業界を選んだのか?」という質問に対して、押田さんは正直に答えました。「単純に車の運転ができたこと、高速道路も利用して、その時に興味がでてきた、、、」。感覚的な理由ですが、これが本音でしょう。誰もが華やかな理由など必要はない。車の運転が好きで、インフラ関係の仕事に興味があった。それで十分なんです。
キャリアの市場価値を考える
ここで皆さんに考えてほしいのは、「市場価値」という観点です。
IT企業は確かに華やかです。でも、IT業界は人材の流動性が高く、常に新しいスキルを学び続ける必要があります。一方、インフラ保全という仕事は、一度スキルを身につければ、それが長期的に通用します。
高速道路は今後も使われ続けます。老朽化したインフラのメンテナンスは、これからますます需要が増えます。平均勤続年数14年という数字は、この仕事の安定性を示しています。そして、色々な福利厚生の情報からも、ワークライフバランスが取れていることを示しています。

就職活動で大事なのは「自分に合った仕事」を見つけること
押田さんの説明は短時間でしたが、学生たちにとって重要なメッセージがありました。
就職活動では、どうしても大手IT企業や有名メーカーに目が行きがちです。でも、NEXCO東日本エンジニアリングのような、堅実な会社も存在します。そして、そういう会社が、実は長期的なキャリアを考えると「穴場」だったりします。
大事なのは、自分に合った仕事を見つけることです。車の運転が好きで、安定した仕事を求めているなら、インフラ保全は良い選択肢です。逆に、最先端の技術に触れたい、グローバルに活躍したいという希望があるなら、別の業界を選ぶこともいいと思います。
次回予告とまとめ
次週のゼミでは、私が就職活動対策について話す予定です。これまでいろんな会社の総括をして、これからの皆さんの就職活動が本格化する前に、対策を伝えておきたいと思います。
NEXCO東日本エンジニアリングのような会社が研究室に来てくれるのは、ありがたいことです。説明会に参加した学生たちには、いろんな選択肢を見て、自分なりの答えを見つけてほしいと思います。
華やかさだけが仕事の価値ではありません。地味でも、堅実で、長期的に安定している仕事もあります。押田さんのように、3年目で「なんとなく仕事がわかってきた」という段階に到達し、車好きの同僚と話に花を咲かせる。そういう働き方も、一つの選択肢です。
ちなみに、ウェブ説明会も開催されるそうです。興味がある学生さんは参加してみるといいでしょう。高速道路業界についての知識を深めることを目的としているとのことです。
それにしても、社宅使用率76%というのは、現代の若者にとってはかなり魅力的な数字かもしれません。東京で一人暮らしをするコストを考えれば、事務所から30分以内の社宅に住めるというのは、実は大きなメリットです。
華やかではないけど堅実。それがNEXCO東日本エンジニアリングという会社です。


