社会人インタビューvol.15:技術商社「丸文」編~創業180年の呉服問屋が、なぜ半導体を売っているのか~

「商社」って結局なんなの?という永遠の問い

就活を始めると誰もが一度は耳にする「商社」という言葉。総合商社は華やか??。専門商社は地味??、堅実??でも、結局何してはるのでしょうか?

先日の講演では丸文株式会社の人事の方から説明を受けました。人事の方も言われておりましたが、「商社はモノを右から左に流すだけじゃないんです!付加価値を提供するんです!」。なるほど、難しいですね!

丸文株式会社は、エレクトロニクス専門商社になります。

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丸文株式会社
https://www.marubun.co.jp/
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創業は1844年。江戸時代なんですね。当時は呉服問屋だったそうです。それが今では半導体や電子部品を扱っている。180年かけて呉服から半導体へ。日本の産業史そのものみたいな会社ですね! 

「独立系」という、意外と自由な立ち位置

商社には「メーカー系」と「独立系」があります。メーカー系は親会社の製品を売るのがメイン。一方、独立系は特定のメーカーに縛られないのが特徴です。丸文さんは独立系になります。これ、実は結構面白いポジションなんです。仕入れ先は主にアメリカやヨーロッパの海外メーカー。800社以上。一方、顧客は国内の電気機器メーカー、企業・大学の研究所、防衛省、気象庁など、3000社超。要するに、「あっちのメーカーのこの製品と、こっちのメーカーのあの部品を組み合わせれば、お客さんの要求を満たせますよ」という提案ができるということです。

メーカー系だと「うちの親会社の製品をどうぞ」で終わるが、独立系は自由に組み合わせられる。しかも丸文の場合、海外の最先端製品を扱えます。国内メーカーだけじゃ手に入らないものを持ってこられます。これが独立系の強みということになります。

技術商社の本質:「わかってる人」が間を取り持つ

講演で印象的だったのは、東京電機大学卒業生でもある中嶋さん(入社X年目)の話です。中嶋さんは入社2年目まで「技術職」として働いていました。技術職って何するの?というと、営業のサポートになります。お客さんが「このカーナビ、こういう電圧・電流に耐えられる?」と聞いてきたとき、技術的に答えるのが技術職の仕事です。営業だけでは答えられない専門的な質問に、技術的バックグラウンドを持った人が対応します。

中嶋さんですが、入社時のTOEICXXX点だったらしいです。それでも?3年連続で海外出張(ヒューストン、ラスベガスなど)に行き、仕事を通じて英語力を向上させたそうです。「入社してから伸ばせばいい」というスタンスの会社らしいです。素晴らしいです!

ここで重要なのは、技術商社では「理系のプロパー:生え抜きの社員」が普通にキャリアを積めるということです。メーカーじゃないと技術者になれない、というわけではありません。むしろ、多様な製品・技術に触れたい人にとっては、商社の方が面白いかもしれないですね!

BtoBの奥深さ:板挟みの中で価値を生む

丸文の顧客は、電気機器メーカー、研究所、官公庁など。つまり完全にBusiness to Business(BtoB)。一般消費者が丸文さんの名前を聞くことはまずないです。でも、スマホもカーナビも、その奥には丸文が扱った部品が入っているかもしれないくらいメジャーなんです。

BtoBの面白さは、「板挟み」の中で価値を生むことだ。仕入れ先のメーカーは「うちの製品をもっと売ってくれ」と言う。顧客は「こういう仕様の部品が欲しい」と言う。その間で、技術的な理解と商流の知識を駆使して、最適な解決策を提案する。これが商社の”付加価値”ということになります。

しかも丸文の場合、デバイス事業(半導体・電子部品)、システム事業(航空宇宙機器・産業機器)、アントレプレナー事業(AI・ロボット・ICTソリューション)という3つのセグメントを持っています。特にアントレプレナー事業は比較的新しく、介護・医療業界への進出も図っている。昭和的な「モノ売り商社」から、令和の「ソリューション提案型商社」へのシフトが見て取れました。

働き方:意外とホワイト?

説明会で紹介された年次有給休暇、休日休暇、平均残業時間、時差勤務制度、テレワーク、”住宅手当”などの福利厚生・勤務体制を見ると、驚きました。商社というと「激務」のイメージがあるが、少なくとも丸文さんに関しては、そこまで激務の印象はありませんでした。もちろん、部署や時期によるよりますけどね、、、

面白いのは「社内兼業制度」で、別部署の業務を担当できるらしいです。システム事業の人がデジタルマーケティング推進室で働いたり、といった具合です。他の部署にチャレンジできる余地があります。色々な人と知り合える機会が豊富で、結構重要なんですよね。

エレクトロニクス業界の現在地:半導体バブルと地政学リスク

丸文が属するエレクトロニクス業界は、今まさに激動の最中です。半導体不足からの反動で、今度は在庫過剰。AI需要で一部は盛り上がっているが、全体的には調整局面。しかも米中対立で地政学リスクが高まり、サプライチェーンの再編が進んでいます。

丸文のような技術商社は、この混沌の中で「つなぎ役」として重要性を増しているでしょう。海外メーカーと国内顧客をつなぎ、技術的な知見を提供し、最適なソリューションを提案する。単なる物流業者ではないですね。

しかも、丸文は宇宙航空分野に強みを持っている。高信頼性部品を扱い、海外拠点は日本メーカーの海外工場をサポートするためにも設置されています。グローバルなサプライチェーンの中で、日本企業を支える役割を担っているわけです。

研究室から見た気づき:「作る」だけが技術者じゃない

今回の説明会を聞いて、研究室メンバーも「技術者=メーカーで開発」というのは固定観念が狭いことに気づいたと思います。

今回のケーススタディーにあるように、技術商社という選択肢は、実は結構面白いです。多様な製品・技術に触れられる。お客さんの課題を技術的に解決する。海外メーカーとのやり取りで英語力も鍛えられる。しかも、入社時点で完璧である必要はなく、「入ってから育てる」というスタンスの会社も多い。もちろん、「自分で製品を作りたい」という人もいると思います。でも、「広く浅く技術に関わりたい」「技術と商売の両方を理解したい」という人には、技術商社は悪くない選択肢だと思います。

で、君たちはどう生きるか?

結局のところ、就活って「自分が何をしたいか」を突き詰める作業になります。メーカーか商社か。大企業か中小企業か。BtoBBtoCか。技術職か営業職か。選択の連続です。丸文という会社は、「技術商社」という、ちょっとニッチだけど面白いポジションを提供しています。創業180年の老舗が、今も新しい分野に挑戦し続けている。昭和的な営業スタイルから脱却し、AI・宇宙・医療といった令和の成長分野に進出しています。

エレクトロニクス業界は今後も激動が続くでしょう。半導体の覇権争い、AIの進化、宇宙開発の加速、地政学リスクの高まり。その中で、技術商社という「つなぎ役」の重要性は増していくでしょうね。

君たちは、この混沌とした業界の中で、どういう役割を果たしたいのか? 自分で作る側になりたいのか、それとも、多様な技術をつなぎ合わせて価値を生む側になりたいのか?まあ、正解なんてないです。選択を正解にする意気込みが必要になります。とりあえず、説明会でも行って、いろいろ話を聞いてみるといいんじゃないでしょうか?

※丸文のオンラインワンデー仕事体験は11月、12月にも実施予定です。興味のある人は参加してみてはどうでしょう?

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丸文株式会社採用ページ
https://www.marubun.co.jp/recruit/newgrad/
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